
「おはようございます!DAY2のスタートですね。でも、朝の気温が一桁って…EVは寒いと電費が悪くなるって聞いたことがあるけど、大丈夫なんですか?」

「鋭いですね!おっしゃる通り、EVは『バッテリーが冷えている状態』や『暖房の立ち上がり』で電気を多く消費します。


朝7時の塩尻市周辺は気温5℃〜7℃。しっかり冷え込んでおり、バッテリーも冷え切った状態でのスタートとなりました。

「ところで帰り道はどんなルートを走るんですか?」

「後半は『道の駅 アルプス安曇野ほりがねの里』を出発し、霧ヶ峰ビーナスラインや山梨、そして秩父の山越えルートを通って帰ります。後半のルートだけでも約265km、アップダウンの激しい過酷な道のりです!」
【後半戦の走行ルート(約265km)】

果たして、登り坂や夜の山道、そして雨という悪条件の中で、IONIQ5の電費はどうなってしまうのか? それでは、後半戦(第10区間〜)のスタートです!
- 第10区間:道の駅 アルプス安曇野ほりがねの里 → 道の駅 小坂田公園(悪条件を跳ね返す「巡航効率」の高さ)
- 第11区間:道の駅 小坂田公園 → 霧ヶ峰ビーナスライン周辺(登り坂×低温×カーブ!電費が落ちる3つの悪条件)
- 第12区間:霧ヶ峰ビーナスライン周辺 → 道の駅 信州蔦木宿(まさかの測定不能!? EVならではのメーターの罠)
- 第13区間:道の駅 信州蔦木宿 → 道の駅 白州(驚異の電費16.1km/kWh!下り坂で発揮されるEV最大の武器)
- 第14区間:道の駅 白州 → 道の駅 みとみ(寄り道と桜、そして徐々に蓄積する「人間」の疲労度)
- 第15区間:道の駅 みとみ → 道の駅 あらかわ(山道はEVの敵じゃない!? 驚異の「回生ブレーキ」の魔法)
- 第16区間:道の駅 あらかわ → 道の駅 おかべ(雨と夜の悪条件ドライブ!それでもIONIQ5は余裕だった)
- 最終結果発表!下道600km走って分かった「本当の航続距離」
- まとめ:IONIQ5は「出かけるきっかけ」をくれる車
第10区間:道の駅 アルプス安曇野ほりがねの里 → 道の駅 小坂田公園(悪条件を跳ね返す「巡航効率」の高さ)
DAY2の最初の目的地は、安曇野から約29km先にある「道の駅 小坂田公園」。 アルプスグリーン道路を経由するルートを走りましたが、朝早い時間帯ということもあり交通量は少なく、極めてスムーズに流れていました。

到着時の電費データは、約20.4 kWh/100km(換算すると約4.9 km/kWh)。 ※画像は到着直前・直後のブレで20.2〜20.6を表示しています。
【区間データ:ほりがねの里 → 小坂田公園】
「4.9 km/kWh」という数字だけ見ると、ずば抜けて良いわけではないように見えます。しかし、以下の条件を考慮すると評価はガラリと変わります。
これらの「電費悪化の要因」があるにもかかわらず、この数値に収まったのは、ひとえに「無駄な加減速がない一定速度での巡航」のおかげです。 ストップ&ゴーが少ない環境では、環境の不利を補って余りあるほど、IONIQ5自体の高い走行効率が発揮されることがよく分かりました。

「なるほど!寒くて暖房を使っても、信号なしでスイスイ走れれば、そこまで電費は崩れないんですね!」

「そうなんです。IONIQ5の走りの安定性が実感できる区間でした。さあ、この調子で埼玉へ向けて距離を稼いでいきますよ!」
第11区間:道の駅 小坂田公園 → 霧ヶ峰ビーナスライン周辺(登り坂×低温×カーブ!電費が落ちる3つの悪条件)

「次はビーナスラインですね!景色は最高だけど、かなり急な山道ですよね…。電費はどうなっちゃうの?」

「実はこの区間、今回の600kmテストの中で一番電費が悪化しました。EVの弱点がすべて詰まった、まさに『電費の落ちる教科書』のようなルートだったんです。」


国道20号を経由し、霧ヶ峰高原を目指してビーナスラインを駆け上がります。天気も良く、遠くには雪化粧をした富士山(笑)も見える絶景ドライブですが、EVにとっては非常に過酷な道のりでした。

【区間データ:小坂田公園 → 霧ヶ峰ビーナスライン周辺】
到着時の電費データは、約30.6 kWh/100km(換算すると約3.3 km/kWh)。 前の区間(平坦な快走路)では約4.9 km/kWhでしたが、一気に3 km/kWh台まで落ち込みました。
しかし、これはIONIQ5の性能が悪いわけではなく、物理的な「条件」による影響です。この区間には、EVの電費を悪化させる3つの要素が完璧に揃っていました。
「EVはどんな条件で電費が落ちるのか?」 それを理解する上で、これ以上ないほど分かりやすいポイントでした。山へ向かう際は、平地よりもバッテリー消費が激しくなることを想定しておく必要があります。

「なるほど…。登り坂で暖房も使って、さらにカーブで加減速となると、電気をモリモリ使っちゃうのは仕方ないですね。」

「その通りです。でも、安心してください!『登ったということは、次は下り』です。ここからはEVの最大の武器であるアレが火を噴きますよ!」
第12区間:霧ヶ峰ビーナスライン周辺 → 道の駅 信州蔦木宿(まさかの測定不能!? EVならではのメーターの罠)

「いよいよ下り坂ですね!回生ブレーキでどれくらい電費が良くなるんですか?ワクワク!」

「それがですね……お見せするのもお恥ずかしいんですが、まさかの『測定不能(参考外)』という結果になってしまったんです(苦笑)」


霧ヶ峰周辺の絶景を満喫し、国道20号を経由して「道の駅 信州蔦木宿」へ向かう約37kmの下りメインの区間。 到着後にメーターを確認すると、なんと区間電費が「0.0 kWh/100km」というバグのような表示になっていました。
【区間データ:霧ヶ峰周辺 → 信州蔦木宿】
「一体何が起きたのか?」 実はこれ、途中のビーナスライン周辺で約50分ほど滞在(駐車・撮影など)したことが原因です。

EVのトリップメーター(区間電費計)は、長時間の停車やシステムの再起動を挟むと、それまでの走行データがうまく引き継がれず、正しく記録されないケースがあります。今回のように「明らかに数十キロ走っているのに0.0表示になる」というのは、EV運用における”あるある”な仕様の癖だったりします。
無理に数値を推測して書くこともできますが、このブログは「実録」がテーマ。正しくないデータはキッパリと「参考外」として扱うのが自然だと判断しました。
データは消えても「回生ブレーキ」の威力は健在!

「えーっ!じゃあ、下り坂でどれくらい電気が回復したのか分からなくなっちゃったんですか?」

「メーターの『電費数値』はバグりましたが、実はバッテリー残量(SOC)を見ると、下り坂の恐るべき威力がちゃんと記録されているんですよ!」
途中のスキー場付近(スタートから約20km地点)で一度メーターを確認した際、バッテリー残量は「32%」でした。 そしてそこからさらに約17km走り、目的地の信州蔦木宿に到着した時のバッテリー残量は……なんと同じ「32%」のままだったのです!
つまり、後半の約17kmを「バッテリー消費実質ゼロ」で走り切ったことになります。 これこそがEV最大の武器である「回生ブレーキ(下り坂でモーターを発電機として使い、バッテリーを充電するシステム)」。 失われた電費データに代わって、SOCの数値が「下り坂では全く電気が減らない」という事実を力強く証明してくれました。

「表示は0.0になっちゃったけど、17kmもバッテリーが減らずに走れたなんてすごい!下り坂の安心感、ハンパないですね!」

「ですね!メーターの癖も分かりましたし、これも良い収穫です。さあ、残りのバッテリーも少なくなってきました。いよいよDAY2の充電ポイントへ向かいますよ!」
道の駅 信州蔦木宿で急速充電!50kWでも十分実用的

「山道を越えて、道の駅で休憩ですね!奥に『天然温泉』の看板が見えます。温泉に入りながら充電できるなんて最高じゃないですか!」

「そうなんです。ここは休憩にぴったりのスポット。今回は温泉には入りませんでしたが、残量が32%(航続表示181km)まで減っていたので、ここで30分の急速充電を行いました。」


利用したのは、全国的によく普及している「50kW」の急速充電器です。 IONIQ5は超高速充電(150kW等)に対応していることが注目されがちですが、日本のインフラで最も遭遇しやすいのはこの50kWクラス。
【急速充電データ:道の駅 信州蔦木宿(50kW器)】
気温が一桁台で、しかも山道走行後というシビアな条件でしたが、スマホのアプリ(Bluelink)で確認すると、しっかりと「50.0 kW」の出力をキープしていました。バッテリー温度も「適温」に保たれており、50kW器でも十分に実用的な速度で充電できることが確認できました。
ガソリンとは違う?「充電量=使える量」ではないカラクリ

「30分で25%も回復して、航続距離も330km以上になったなら安心ですね!……あれ?でもちょっと待って。充電器の画面には『24.8kWh』入れたって書いてあるけど、これってまるまる車のバッテリーに入ったんですか?」

「めちゃくちゃ鋭いですね!実はEVの充電って、『充電器から出た電気(24.8kWh)』が、すべてそのままバッテリーに貯まるわけではないんです。ここがガソリン給油とは大きく違うポイントです。」
このカラクリを理解するために、まずは筆者の愛車である「IONIQ5 Lounge RWD」のバッテリー容量について少し解説させてください。
このモデルのカタログ上のバッテリー容量は「84 kWh」です。 しかし、スマートフォンのバッテリーと同じで、リチウムイオン電池は「完全に空っぽ(0%)」にしたり、「限界までパンパン(100%)」にしたりすると劣化が進み、寿命が縮んでしまいます。
そのため、メーカーは車を保護するために意図的に「使えない見えない余裕(バッファ)」を残すようシステムを設計しています。つまり、カタログ値が84kWhであっても、実際に私たちがメーター上で「SOC 0%〜100%」として使える実質の容量は約77kWh程度だと推測されます。

「カタログだと『84kWh』って書いてあるのに、どうして実際に使えるのは『約77kWh』って分かるんですか?どこかの説明書に書いてあるの?」

「実はこれ、車のメーターのデータから自分で逆算できるんです!」
例えば、今回の車中泊で一晩中エアコンを使っていた「ユーティリティモード」のデータを見てみましょう。
このデータから、消費した電気の量を計算します。 0.8 kWh × 11.66時間 = 約9.33 kWh(これが12%分の電気です)
これを100%(満充電)の容量に換算すると…… (9.33 kWh ÷ 12%) × 100 = 約77.7 kWh

「ホントだ!計算すると『約77kWh』になりますね!カタログの数字そのままじゃなくて、実際に使った電気の量と減ったパーセントから計算してるから説得力あります!」
消えた「2割の電気」の正体とは?
では、この「実際に使える約77kWh」をベースに、今回の急速充電で「実際にバッテリーに増えた量」を計算してみましょう。
バッテリーの実容量(約77kWh) × 今回増えたSOC(25%) = 約19.2 kWh
おや?充電器の画面には「24.8 kWh」と表示され、その分のお金を払ったのに、実際にバッテリーに入ったのは「約19.2 kWh」。 差し引きすると、約5.6 kWh(全体の約22%)の電気がどこかへ消えてしまったことになります。

「えーっ!?お金を払って入れた電気の2割以上が消えちゃうなんて、なんだか損した気分…!漏れてるんですか!?」

「漏れているわけではないので安心してください(笑)。この消えた電気の正体は、『充電ロス』と『バッテリーの温度管理』に使われたエネルギーなんです。」
電気をケーブルで送る際、どうしても抵抗によって熱が発生し、一部の電気が逃げてしまいます(充電ロス)。 さらにEVは、急速充電中にバッテリーが熱くなりすぎないよう、車のシステムが冷却ファンやエアコンを作動させてバッテリーの温度を最適に保つ(適温管理)ために電気を消費します。
つまり、この約22%のロスは無駄になったわけではなく、「バッテリーの寿命を長持ちさせ、安全に早く充電するための必要経費」なのです。
「充電量(お金を払った量)=そのまま走れる電力」ではない。 カタログ値の「84kWh」がそのまま使えるわけではなく、さらに充電時にもロスが発生する。これは実際にEVを運用し、数値を記録してみて初めて実感した「リアルな事実」でした。これからEVに乗る方は、この『実容量の差』と『充電ロス(約20〜30%)』を頭の片隅に置いておくと、実際の運用でギャップを感じにくくなるはずです。
第13区間:道の駅 信州蔦木宿 → 道の駅 白州(驚異の電費16.1km/kWh!下り坂で発揮されるEV最大の武器)

「道の駅 信州蔦木宿で充電を終え、長野県から山梨県へ。次の目的地である『道の駅 白州』までの約8kmを走りました。まずはこの時のメーターの写真を見てください!」



「えっ!? 電費が『6.2 kWh/100km』になってる! 日本の単位(km/kWh)に直すと……『16.1 km/kWh』!? さっきの霧ヶ峰の登り(3.3 km/kWh)の5倍も走れてるじゃないですか!」

「そうなんです。しかもメーターの右下をよく見てください。8km走って到着したのに、バッテリー残量(SOC)は出発時と同じ『57%』のまま、1%も減っていないんです。」
【区間データ:道の駅 信州蔦木宿 → 道の駅 白州】
実はこの「道の駅 信州蔦木宿」から「道の駅 白州」までの約8kmの区間は、ほぼずっと「下り坂」でした。 ここで、EVならではの最大の武器である「回生(かいせい)ブレーキ」が強烈な威力を発揮します。
【回生ブレーキとは?】
ガソリン車の場合、下り坂でエンジンブレーキを使ってもガソリンタンクの中身が増えることは絶対にありませんよね。 しかしEVの場合、アクセルを離して減速する際、モーターが「発電機」の役割を果たします。つまり、下り坂の勢いを利用して電気を作り出し、バッテリーに回収しながら走ることができるのです。また、ブレーキの長寿命化にも寄与します。
この区間はアクセルを踏む時間が極端に少なく、下りの勢いで電気を回収しながら進んだため、実質的にバッテリーの電気をほとんど消費せずに走り切ることができました。
山道ドライブの鉄則:「電費はトータルで考える」
今回の山道テストを通して、EVにおける非常に重要な真理にたどり着きました。 それは、「電費は区間単体で一喜一憂するのではなく、全体(トータル)で見るべき」ということです。
EVで山を走ると、登りでは「ウソでしょ!?」と思うほどのスピードでバッテリーが減っていき、初心者の方は間違いなくパニックになります。しかし、そこで焦る必要はありません。「登った分は、下りで必ず回収できる」からです。
行き先の標高差をある程度把握しておき、「登りで消費し、下りで回収する」という全体の流れをイメージできていれば、EVでの山道ドライブはまったく怖いものではなくなります。
第14区間:道の駅 白州 → 道の駅 みとみ(寄り道と桜、そして徐々に蓄積する「人間」の疲労度)

「道の駅 白州を出発し、山梨県を快走して雁坂(かりさか)トンネルの手前にある『道の駅 みとみ』まで約63.5kmを走りました。この区間は、色々な意味で『リアルな現実』が見えた区間でした。」



【区間データ:道の駅 白州 → 道の駅 みとみ】

「電費 5.8 km/kWh!朝の過酷な山道(3.3 km/kWh)から比べると、すごく安定した数値ですね!写真の桜も7分咲きくらいで綺麗です!」

「実は北杜市あたりで綺麗な桜を見かけて、思わず車を停めて15分ほど撮影タイムにしちゃいました。この時、車の電源を入れたまま(システムONの状態で)停車していたんです。」
EVならではの「寄り道」と電費の関係
ガソリン車の場合、長時間停車して撮影などをするときは、アイドリング音や排気ガス、周囲への配慮からエンジンを切るのが一般的です。
しかし、EVにはエンジンがありません。そのため、電源を入れたまま(エアコンを効かせた快適な車内のまま)無音で待機することができます。これはEVの大きなメリットです。
ただし、注意点もあります。 車は走っていなくても、システムを維持し、エアコンなどの電装品を動かしているため、バッテリーの電力は少しずつ消費されます。つまり、「走行距離は増えないのに電気は使う」ため、メーター上の電費(km/kWh)の数値は少し悪化します。
今回の「5.8 km/kWh」という数値は、一般道、山道、そして「15分のシステムONでの寄り道」を含めた結果です。カタログ値のような理想的な数字ではありませんが、日常の使い方として非常に現実的で再現性の高い数値だと言えます。
電費より深刻?「人間の疲労」というリアル

「寄り道も考慮されたリアルな電費なんですね!バッテリーはまだ45%(航続距離270km)も残っているから、車の方は埼玉まで余裕ですね!」

「車の方は余裕なんですが……実はこの区間で痛感したのが、『人間の疲労』でした。」
IONIQ5のシートは非常に優秀で、乗り心地も抜群に快適です。 しかし、ここまでのルートは高速道路を使わない「下道縛り」。ストップ&ゴーの繰り返しや、長時間のステアリング操作、山道でのカーブの連続は、確実に身体へダメージを蓄積させていました。
この「道の駅 みとみ」へ向かう道中で、首や腕の疲れ、そして助手席に乗っている妻のお尻への負担がはっきりと出てきたのです。
EVの長距離ドライブとなると、どうしても「バッテリー残量」や「充電スポット」ばかりに気を取られがちです。しかし、車種や動力源に関係なく、一般道の長距離運転による疲労は避けられません。
「EVの充電計画」と同じくらい、「人間が快適に走るための休憩計画」をしっかり立てることの重要性を、身をもって実感した区間となりました。
第15区間:道の駅 みとみ → 道の駅 あらかわ(山道はEVの敵じゃない!? 驚異の「回生ブレーキ」の魔法)

「雁坂(かりさか)トンネルを抜け、山梨県から埼玉県の秩父市(道の駅 あらかわ)へと入りました。約60.7kmの道のりですが……ここで、EVの『本当のすごさ』をお見せします!」




【区間データ:道の駅 みとみ → 道の駅 あらかわ】

「えっ!? ちょっと待ってください! 60km以上も走ったのに、バッテリーが『4%』しか減ってないんですか!? 電費の『19.2 km/kWh』って、今までの数値と桁が違いますよ!」

「ギャラリーの3枚目の画像を見てください。途中で撮影したメーターですが、電費が『0.1 kWh/100km』となっていますよね。これはつまり、『電気をほとんど使わずに約40km走った』という証拠なんです。」
「山道=EVに不利」は大きな誤解!
一般的に、「山道はEVの電費が悪くなるから苦手」と思われがちです。確かに、この日の朝に長野県の霧ヶ峰を登った際は、重い車体を引っ張り上げるために大量の電気を消費しました。
しかし、雁坂トンネルを越えて秩父側へ出ると、今度は「長〜い下り坂」が続きます。ここで真価を発揮するのがEVの【回生(かいせい)ブレーキ】です。
【おさらい】
回生ブレーキとは、アクセルを離した(またはブレーキを踏んだ)際に、モーターを発電機として逆回転させ、車の運動エネルギーを電気に変換してバッテリーに戻す仕組みです。
つまり、長い下り坂では、アクセルをほとんど踏まずに重力で進みながら、同時にバッテリーを充電しながら走っている状態になります。消費する電気よりも、回収する電気の方が上回ることすらあるのです。

「なるほど! 登りでたくさん電気を使ったとしても、下りでその分を回収(充電)できちゃうから、山を越えるトータルで見れば意外と損していないんですね!」

「その通りです! ガソリン車の場合は、下り坂でエンジンブレーキを使ってもガソリンは1滴も増えませんが、EVは下れば下るほど電気が回復します。『EVは山に弱いわけではなく、登りと下りの特性を理解すれば全く怖くない』ということが、最もわかりやすく現れた区間でした。」
秩父に入って天候は雨に変わり、気温も下がってきましたが、バッテリーはまだ「41%(航続距離234km)」も残っています。
ゴールとなる埼玉県の「道の駅おかべ」までは、もう目と鼻の先です!
第16区間:道の駅 あらかわ → 道の駅 おかべ(雨と夜の悪条件ドライブ!それでもIONIQ5は余裕だった)
【区間データ:あらかわ → 県道44号(夕食) → 道の駅おかべ】
秩父方面の長い下り坂を終え、県道44号を北上して夕食を済ませます。 この時間になるとすっかり日が落ち、さらに本格的な雨が降ってきました。

「夜に雨だと、ライトも点けるし、ワイパーも動かすし、窓の曇り取り(デフォッガー)も使うから、一気に電気が減りそうで不安です…!」

「ガソリン車でも燃費が落ちる条件ですよね。でも結果を見てください!悪条件でも電費 10.0 km/kWh と、驚くほど安定しているんです」
IONIQ5は、雨や夜間といった悪条件でも極端にバッテリーを消費することはありませんでした。車側の航続距離はまだまだ余裕たっぷり。 そして夕食後、少し車を走らせて……ついに最終目的地である「道の駅おかべ」に到着しました!
最終結果発表!下道600km走って分かった「本当の航続距離」
今回のテーマである「下道600km山道テスト」、ここ「道の駅おかべ」にて無事に検証終了です!
それでは、すべての走行を終えた今回の総トータルデータを発表します。
【今回の最終累積リザルト】


「途中で2回急速充電をしたとはいえ、一晩中クルマの空調をつけて寝て、下道600kmを走り切った上でまだ35%も残っているなんて凄いです!これなら、家に着いてから『明日走れないからすぐ充電しなきゃ!』って焦る必要もないですね!」

「そうなんです!『EVの長距離ドライブは充電計画がシビアで大変』と思われがちですが、人間の休憩ペースに合わせて充電器に繋ぐだけで、これだけ余裕をもって完走できることが身をもって証明できました!」
「エコ運転を意識しない」「暖房もしっかり使う」「激しい山道のアップダウン」、そして何より「約11時間半のユーティリティモード(車中泊)での消費」。 これだけEVにとって過酷(電気を消費する)な条件が揃っていたにもかかわらず、途中の充電は休憩ついでのたった2回だけ。それでいて総合電費 6.4 km/kWhを叩き出し、最終的に翌日もそのままお出かけできるレベル(35%・残り206km)の余裕を残して帰宅できたことには、私自身が一番驚いています。
600km走破後の「リアルな疲労感」
IONIQ5のバッテリーは35%(航続可能距離206km)も残っており、車としてはまだまだ余裕です。 では、乗っていた人間の体力はどうだったかというと……。

「正直、ずっと運転していたので首や肩は少し凝りましたが、『まだまだ全然走れる!』と思えるくらいの疲労感でした。ただ、助手席の妻は……」

「さすがにずっと座りっぱなしだと、お尻が痛くて体をモゾモゾひねっちゃいましたね(笑)」
ガソリン車・EVに関わらず、長時間のドライブは体に負担がかかります。 しかし、IONIQ5は車内の静粛性が極めて高く、振動も少ないため、下道600km(しかも山道メイン)という過酷な条件の割には、驚くほど疲労感が少なかったのが本音です。
世間ではよく「EVは充電で待たされて不便」と言われます。 しかし、今回の旅でハッキリ分かりました。車のバッテリーが限界を迎えるずっと前に、人間側が「お尻が痛いからストレッチしたい」「トイレに行きたい」「温かいコーヒーが飲みたい」と休憩を欲するのです。
人間のこうした自然な休憩サイクルと、EVの充電サイクルは実は綺麗に重なります。 EVは不便どころか、長旅において強制的にリフレッシュのきっかけを与えてくれる、非常に優秀な「ペースメーカー」になってくれるのだと気付きました。
まとめ:IONIQ5は「出かけるきっかけ」をくれる車
首や肩は凝りましたし、少し疲れました。でも、不思議と嫌な疲れではありません。 IONIQ5の静かで滑らかな走り、広々とした車内空間を思い返すと、「次はどこへ行こうか?」と自然に考えている自分がいます。
IONIQ5は、単なる移動手段ではありません。 「またどこかへ出かけるきっかけを作ってくれる車」なのだと、この600kmの旅を通じて確信しました。
EV購入に踏み切れず悩んでいるEV初心者の方の、少しでも背中を押すデータになっていれば嬉しいです! 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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